2012年12月5日

日銀による国債の直接引き受け

http://www.nikkei.com/markets/column/hanshakyo.aspx?g=DGXNMSFZ20018_20112012000000&df=4
日本経済研究センター主任研究員 前田昌孝

 特に、日銀による国債の直接引き受けの是非は世論を二分しそうだ。安倍氏の積極発言以来、円安・株高が進み、「これこそデフレ脱却の突破口」と考える人も多い。グラフのように、物価連動国債投信の基準価格がじわじわと上昇しているのは、市場のデフレ脱却期待の強さを反映している。一方で筆者の周囲を含め、エコノミストの多くは基本的に「財政規律が崩れる」と反対だ。
 しかし、金融や経済に詳しくない人に「なぜいけないのか」と問われた場合、理路整然とダメな理由を説明するのは意外と難しい。白川方明日銀総裁は20日の記者会見で「通貨発行に歯止めがなくなる」と反対を表明したが、積極派からは「法律で歯止めを設けてから実施すればいい」との反論を招くだろう。あとはいわば宗教論争か。日銀の日ごろの説明不足、金融政策のトラックレコードの悪さ、学校段階での経済教育の不十分さなどすべてのツケが、重大な決断の局面で一気に出てくるのではないかと思われる。

自分でも説明出来ていないのに、さも分かった風な視点から否定していますね。
説明出来ないなら、肯定も否定もしないでもらいたい物です。
というか、説明出来ないと言う事は理解していない訳ですから、普通肯定も否定も出来ないはずなんですがね。
まぁ、こういう人間でも主任が務まるのだから、日経も大した事無いのかもしれません。

日銀による国債の直接引き受け、がどれを対象に行われる物を指しているのか不明ですが、言葉は違えど日銀は恒常的に行っている物のようですし、アメリカもQEの名目の元超規模にやっている事でしょう。
これを「禁じ手」として躊躇しているのは、ハイパーインフレとは別の懸念があるからです。
まず、あのバブル後のどん底を経験し、ハイパーインフレ=バブルの後には絶望的な経済停滞が待っている事を知っている日本で、無尽蔵に国債引き受けをやるはずがありません。
ハイパーインフレに至るためには、上のリンクを例に取ると43億倍円を刷れば発生する訳ですから、現在どれ位円を供給しているのか把握出来ていませんが、「最低でも」4300000000兆円国債引き受けしなくてはなりません。
ちなみに、平成23年度の国家予算は特別会計を含め477兆円です。
一目で分かりますね。
こんな馬鹿げた事が起こる訳が無いと。
バブル崩壊を経験しインフレに過敏になっている日本ならなおさらです。
国債の直接引き受けが起こっても、適切な金額に留めていれば問題無いのです。

別の懸念と言うのは、国債引き受け=円を多く刷るようになると、円安になると言う事です。
国が自国の通貨安をコントロール出来るようになってしまうと言う事です。
通貨安になれば、輸出品に競争力が生まれますから、フェアでは無いと言う事で各国が禁じています。
これは、以前世界で通貨安を競ったために通貨危機に陥った過去があるからです。
つまり、日本は世界の顰蹙を買う事も恐れて、円の増刷に踏み切れないのです。
しかしまぁ、中国は完全に元をコントロールしていますし、アメリカも輸出路線のオバマ政権下で通貨安政策が取られて来ました。
日本の景気は大震災後から、欧州問題やアメリカの景気問題が重なり、低空飛行を続けています。
私の会社の取引先・仕入先も、合わせて5社が既に倒産しました。
四の五の言っている場合ではありません。
安部党首の金融緩和発言から、大きく円安に振れた事で日本経済は多少息を吹き返しましたが、この事からも分かるとおり、原発代替発電のための輸入費用がかさみ貿易赤字国となったものの、日本は未だ輸出大国であり、国益を上げて国民の生活を支えているのは輸出企業です。
そのため、円安は日本経済において最大の治療薬なのです。

あとは……国債引き受けに関して恐いのは、政治家や官僚の無駄遣いが増えるのではないかという事もあります。
無尽蔵に借金出来る事で予算が甘くなり、どうでもいい事業を立ち上げて金を使い始めるのではないかと。
しかし、経理的に考えると、借入金は損益に関係しないので、国債と引換に現金が入ったからといって益金が増える訳ではなく、したがって予算に余裕が出来る訳では無いはずです。
政治家や官僚による乱用を法によって厳しく取り締まれば、国債の直接引き受けは十分現実的に運用でき、円安とともに多大な効果を発揮する物と思われます。
どうでもいい法を作るより、まさにこういう所に法の力を用いて欲しい物です。

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